ご挨拶

志茂柔道クラブ設立のきっかけは、私が以前所属していたクラブで聴覚障害者(以降ろう者)である岡本記代子に手話を用いて指導を行い、岡本がデフリンピック台湾プレ大会にろう女子柔道家として初めて出場したことにあります。

岡本の友人(ろう者)の息子さん(ろう者)が柔道を習いたいと思い、最寄りの警察署に入門を希望しましたが、耳が聞こえないことを理由に入門を断れたということから、知人を介して私に話が回って参りました。
私自身も北区に引っ越したばかりで、道場を探していたこともあり、知人である東京都市大学附属中学・高校の小室宏二教諭よりご自身の出身道場である、柔道クラブをご紹介されて、一緒に入門することとなりました。
先生方はとても面倒見が良く、丁寧な指導をしてくださいましたが、やはり聴者と全く同じ条件ではろう者には細かい部分までの指導が行き届かないことを痛感した次第です。
私が小学生の指導をお任せ頂いたことにより、息子さんだけに細かい指導をすることが出来ずに、一年半で退会することとなりました。

私の娘もろう者であり、同じクラブでお世話になっております。
幼児担当の聴者の先生方に丁寧に指導をしていただいておりますが、手話を用いての指導ではないため、技の名前もわからないまま稽古をしているのを見るに当たり、世の中にろう学校がなぜ存在しているのか?という意味を問い直し、ろう者には手話による指導が必要という基本に立ち返り設立を決意致しました。

以前、岡本と『ろう者の柔道指導者がろう者に指導をする道場をいつか設立したい。』という夢を語り合っていたことから、ろう児、ろう者に武道の素晴らしさ、奥深さ。スポーツとしての柔道の楽しさを伝えいく一助となりたいと考えております。
願わくば、この道場で学んだ子供たちが成長し、自分と同じろう者に柔道を指導していく立場になって欲しいと思っております。

志茂柔道クラブ代表
堀 資雄